2010年9月11日土曜日

農夫になる日 -3 堆肥作りに不具合発生


先々週から地道に作り続けている堆肥。
先週、土を切り返した時に放線菌(有効菌)が発生していたので安心していた。
しかし本日、農業指導員のIさんの指摘を受けた時にミスをおかしていたことが判明した。


ビニールを剥がした後の堆肥の山。
この一見順調にみえる堆肥の発酵具合がおかしいことに気付いたのは、山に鍬を入れて土の切り返しをした時である。


先週は土に鍬を入れるごとに見えていた放線菌がいっこうに見当たらない。
それに、むせ返るような牛糞堆肥の匂いがまったくしなかった。
堆肥の山に手をやると、火傷しそうになるくらい熱い。


先週の講義によると、うまく発酵がすすめば放線菌は姿を消して山の土の温度も下がるが、匂いは消えないはずである。
しかしまだ堆肥を仕込んでから二週間しか経っていないし、土の温度は下がっていないので、完熟したわけではない。
疑問に思って土を切り返してうちに、どうも土の質が以前よりも粘土質に近づいていることに気付いた。
鍬を入れると、鍬の先に土がねっとりとくっつく。
それに土の中がどうも青っぽい。

農業指導員のIさんに見てもらうと、どうも堆肥に仕込んだ水分が多すぎたようである。
そのせいで土は発酵というよりも腐敗してしまったようなのだ。
堆肥の山の水分は60%に保つのが理想である。
そしてその状態は『土をギュッと握ると固まるが、指で押すとパラリと崩れる』程度というが、素人にはいまいち解りにくい。
多すぎるに超したことはなかろうと堆肥一山にバケツ3杯の水を仕込んでしまったけれど、それが間違っていたようだ。
Iさんが言った。

「もう一度山を作り直したほうがいいですよ。」


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失敗した堆肥の山を区画の四隅に避けて、余った土を再び耕した。
今週の中頃に来た台風9号のおかげか、乾いてみえるのは土の表面5cmくらいで切り返すとすぐに湿った土が見えた。
初めて耕した時とちがってずいぶん切り返しが楽である。
スコップがザックザックと入るので、およそ1時間程度で堆肥用の土の山を作る事ができた。
再び、米ぬかと腐植土を混ぜ込む。

先週から畑をやり始めたKさんから、堆肥に混ぜ込む肥料の役割を聞いたのでメモ。

■堆肥に混ぜ込む肥料の役割

  • 米ぬか:土の中の微生物の餌になる。土の表面に残しておくとアリが食べてしまうので、きちんと土の中に混ぜ込まなくてはならない。
  • 牛糞堆肥、腐植土:微生物が増える為の温床となる。

作り直した堆肥の山。

山から土を一すくい。
Iさんに土を見てもらうと、水分を混ぜ込まずにこのまま堆肥の山にビニールをかけてしまってもよいという。
台風のおかげか、水分の含み具合が丁度よいらしい。
写真の状態が『水分60%』。

土をギュッと握ると固まる。


指で押すと、パラリと崩れる。

思っていたよりさらさらの状態なので驚いた。
これが60%であるならば、先週の切り返し時にはおそらく90%近い水分を混ぜ込んでいたのではなかろうか。


完成。
水分を抜けばもう一度やりなおせるとのことで、区画の四隅には失敗した前の堆肥を敷いた。

またこれから三週間は様子見です。

2010年9月5日日曜日

農夫になる日 -2 畑に関する基礎知識


今日はマイファームの『秋冬野菜・座学講座』に行って来た。
農業指導員の方は畑には週二、三回くらいは来て頂けるが、時間帯が合わなかったりしてなかなか会えなかったりする。
まだ畑に触り始めたばかりの僕のような人間にとっては、日頃から聞きたかった知識をまとめて教えてもらえるよい機会である。
以下、忘備録と情報の蓄積も兼ねて。


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ノート(畑に関する基礎知識)
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畑に来たらまずやること

  • 観察する。畑全体をよく見て回る。歩き回るだけでなく、しゃがんで葉の裏や茎の太さ、色などもよく観察する。茎の下の方は、土中の栄養素と水分をやり取りしている箇所なので作物の状態が比較的見えやすい。
  • 水分補給水分は上からかけずに根がある箇所(地面)に直接やる。葉に水滴を当てない。
  • 異常の早期発見。異常を見つけたらすぐに適切な処置をする。
    1. 害虫の駆除。
    2. 病気になった箇所、株の削除。
    3. 余計な枝葉の剪定と間引き。例えば、トマトなどは放っておくと茎と葉をどんどん延ばして他の枝と競争するということになる。わき芽を見つけたらすぐに手で取り除く。はさみを使うと、病原菌などを移してしまうことがある。
  • 観察ポイント。
    1. 日照:あまり日光を当てないと、光を求めて茎は上へ上へと伸びて行ってしまう。結果、上の方の葉に邪魔されて下の方の葉に日光が当たらずに他の作物の茎も伸びるという悪循環が発生する。
    2. 空気
    3. 栄養
    4. 風通し
    5. 雑草:雑草の根は目的の作物が根を延ばす空間を狭めてしまう。マルチなどをして日光を遮断し、雑草を生やさないようにする。
苗選びのポイント
  • 茎が太いものを選ぶ。太ければそれだけ栄養素と水分を上に上げる事ができる(トマトは例外)。
  • 節と節の間が短いものを選ぶ。節間とは、本茎から分岐した枝の付け根と付け根の間の長さの事。
  • 同じ葉の枚数であるならば、葉の小さい物を選ぶ。葉を構成する要素数は、実はすべて同じ数である。そのため、大きい葉であるとその分だけ葉の構成要素の間にスキマがあり、そこに病原菌が入りやすくなる。葉が小さいとその分だけ厚みがあることになるし、下の方の葉にも光が当たりやすくなる。
土つくりに関して
  • 水をつかむような粒子構造をもつ土を作る。すぐに地下に浸透しないで、畑の土全体にまんべんなく水分がいき通り、水分を保持し続ける。
  • 朝霞の土はもと水田なので粘土質の土である。水はけはあまりよくなく、台風や集中豪雨の後は水たまりが出来やすい。もし水が引いたとしても、土の浅い深度の階層で水分が溜まっている事があるので、そのような時には畑に深い溝を掘って、土の中の余計な水分を逃がしてやる必要がある。
堆肥作りについて
  • 土の粒子が細かくなるように畑を耕した後に、腐植土と米ぬかと鶏糞を混ぜ込み、山を作る。水分を加え、水分が蒸発しないようにビニールマルチで覆いをしてやる。
  • まず始めに増殖するのは病原菌である。病原菌は作物には有害だが、土を構成する要素としては必要な物である。
  • 病原菌の増殖のピークが過ぎると、次に有効菌が発生する。これが作物に必要な微生物である。土を見て白い菌糸が確認できれば、有効菌が順調に発生している証拠である。有効菌が発酵を即すに連れて、土の温度はどんどん上がり続け、発酵臭も増す。時々、ビニールを剥がして堆肥の山を切り返してやる。これは、空気を入れ替えるためと、上がり続ける温度の調整のためである。水分60%、温度60℃を保ち続けるのが理想。
  • 最後に、青カビなどの細菌が発生する。
  • 堆肥は、この三種類の微生物の数が落ち着き、土の温度が上がらなくなったら完熟となる。有効菌が出す発酵臭が匂うのが望ましい。土の匂いとは、有効菌の発酵臭そのものだからである。


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本日の畑作業開始。
ビニールを剥がし、堆肥に水分を混ぜ込み、山を切り返す。


堆肥の山の表面に放線菌(有効菌)のだす白い菌糸を発見した。

山を切り崩した内部。
山を切り崩すと、土はざっくりと大きな塊になって崩れる。
土自体は柔らかくなっているものの、やはり粘土質の土であるせいか、土の粒子同士がくっつきやすい。
堆肥が完熟すれば、土も細かくなるという。

ここにも菌糸が張っている。
とりあえず発酵は順調のようである。

2010年9月4日土曜日

ベランダ菜園 -4 堆肥作り


途中放棄しかけたベランダ菜園だけど、もう一度チャレンジ開始。
以前使用したプランターの土は、きちんと対処すれば捨てる事なくもう一度使用できるということを知った。
自然のフィールドにある土と異なり、プランターの土は放っておいて肥沃になることはまず期待できない。
以前育てた野菜の種類に寄って土中の栄養素が偏った状態であり、かつフィールドでは拡散されるはずの病原菌の類いが圧縮されて増幅している可能性もあるので、適切な処置を施した上で再利用しなければならない。

梅雨開けごろにたまたま本屋で見つけた雑誌『男の隠れ家 2010年 07月号』で農業特集をやっていた。
これから農業をやってみようという人にはうってつけの特集で、貸し農園や自宅農園の情報など、人それぞれのスターティングガイドを始め、土の基本的な知識や野菜の特徴、農具の使い方など、結構細かく記載されている。
その中で、プランター土の再生方法というのを見つけた。

■プランター土の再生方法
  1. プランターの土をフルイにかけて大きい石ころや細かい根っこ類を取り除く。
  2. その土に、5%の割合で腐植土と米ぬかと鶏糞を混ぜ込む。
  3. 水分補給。手でギュッと握った土がかるく固まる程度の水分を混ぜ込む。
  4. ビニールに入れ、日光の当たる場所に2ヶ月ほど置いておく。時々土を切り返してやると、よりよく発酵が進む。
  5. 土をかき混ぜて、匂いがしなくなったら完成。市販のプランター用の土と半々くらいにして使う。
※大きめのプラスチック容器とプラスチックスコップがあると作業がはかどります。

上記内容をもとに実は7月半ばごろからプランター土の堆肥作りをしていたのでした。
設置しておいたビニールの封を開けてみると、仕込んだ時に匂った土の匂いがまったくしない。
かき混ぜてみると、土の奥のほうからもわっと匂ってきたが、おそらく溜まっていた発酵ガスが抜けているのだろう。

ホームセンターで買って来たプランター用の野菜培養土と半々に混ぜて、大きめのプランターを三つ、ベランダにセットした。
ここにはハーブ類を植える予定。